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人気カセットテープショップ「waltz」から学ぶ
リユースが生み出す新たな価値ってなに?

2015年のオープン以来、多くのファンを生み出し、メディアにも注目されるカセットテープ・レコードショップ「waltz」。それまで「廃れたメディア」とさえ言われていたカセットテープに価値を見出し、新たなカルチャーとしてリバイバルさせたオーナー・角田太郎氏のインタビューを通して、モノを大切に使う喜びや、古い機器など、リユースが持つ魅力を紐解いていきます。 (2017年5月19日作成)

古いものに新しい価値をプラスする、
リユースが持つチカラとは。

本日はお時間いただき、誠にありがとうございます。私たち「リコライフ」はリユースとエコの普及をテーマにさまざまなコンテンツを展開しておりまして、本日はリユースの新たな一面や価値についてwaltzさんにお伺いしたいと思っております。waltzさんはさまざまなメディアで取材を受けられていて私たちも気になっていたのですが、想像以上に素敵なお店でビックリしました。周辺の環境も静かでいいですね。

ありがとうございます。私は出身が中目黒でしたので、昔からこの辺りの雰囲気の良さは知っていたんです。ここはもともと金型の工場だったところをリノベーションして使っていて、この間口の広い入口も色を塗り直しただけなんですよ。この物件が見つかったことが、脱サラして起業するきっかけにもなりました。

角田さんはもともとAmazonに勤められていたと何かのインタビューで拝見したのですが、なぜ脱サラしてスタートされたのがカセットテープショップだったのでしょうか?

ひとつ目は、もともと私自身がカセットテープのコレクターだったこと。2004年頃から集め始めて、最終的には1万個以上は所有していたのではないでしょうか。音楽がカセットからCDになり、その後デジタルに移行しましたが、やはり一定のマニア層というものは存在していまして、海外のコレクターなどとトレードしながらコレクションを増やしていました。そういった経験があったことから、まだまだ需要はあるし、カセットテープの良さを知らない若い世代にも響くだろうという思いがありました。

ふたつ目は、もっと自分自身が成長できる環境に身を置いてみたいと思うようになったこと。Amazonでの仕事はとても刺激的でしたが、長年いるとマネジメント業も多くなってきて、「本当に自分がやりたかったことはこれなのかな」と疑問を持つようになってきたんです。今思えば、思い切って辞めてよかったですね。周囲から相当反対されましたけど(笑)。

若い世代というお話が出ましたが、waltzはどういった年代のお客さんが多いのですか?

本当にバラバラですね。70代以上のおじいちゃんおばあちゃんから問い合わせが来ることもありますし、私たちのようなカセットテープで育ったような年代の人ももちろん来ます。あとはデジタルで育った10代の若者も興味を持ってくれています。特に10代のお客様は、エッジーな感性を持った人が多いような気がしますね。私たちにとっては「デジタルの前に存在した懐かしいもの」ですが、彼らにとっては「デジタルの次に来る新しいもの」という位置付けのようです。音のザラつきや不便さが逆に新鮮に感じるみたいですね。

リユース品を扱う上で一番大切なのは、
お客様に「安心」を感じてもらうこと。

waltzに並んでいるカセットテープやラジカセはほとんどがリユース品とお伺いしましたが、どれも本当にキレイですよね。リユース品を扱う大変さやこだわりなどを教えていただいても宜しいでしょうか。

はい。もともとが私自身のコレクションでしたので、状態にはかなり気を使ってきました。海外などから仕入れたものですとケースもボロボロだったりするので、そういった場合は新しいケースに入れ替えて、カセットはエタノールでキレイに消毒してから保管するようにしています。古い商品が並ぶ、ホコリっぽいレコード屋さんもそれはそれで楽しいのですが、waltzのコンセプトはそうじゃない。「waltzで買えばキレイ、安心」と言ってもらえることが理想ですね。

なるほど。セカンドストリートもお品物を買い取る際は、独自マニュアルによるチェックを行っています。特に高額商品は、査定時の一次チェックと商品化時の二次チェックをクリアしたものしか店頭に陳列されません。扱っているものは違っても、「お客様に安心して買い物をしてほしい」という思いには同じものを感じますね。

そうですね。あと、私はカセットテープをアート&カルチャーとしてとらえていまして、そこに新しい価値があると考えています。商品自体をキレイにしておくことはもちろん、お店の雰囲気、陳列方法まで含めてひとつのプレゼンテーション。そうすることで「懐かしいものを売っている」のではなく、「新しいカルチャー」として世間に広められると思っているんです。

アンティークの机の上にキレイに陳列されたカセットテープを見ると、ひとつのメディアというよりアートブックのような印象を受けますよね。ただ録音された音を聞くだけでなく、ジャケットを見て、手に持ってみるだけでも楽しくなってくる。お店そのものの居心地も素敵ですし、店舗にも商品にも細部に至るひとつひとつに角田さんの愛情を感じます。ここまで完璧にカセットテープを管理されるのは大変だと思うのですが、管理方法などのアドバイスをいただけますか?

そうですね。たとえばテープは必ず巻き戻しておく。縦に置くときは巻いてある方を下にする。こうすることで自重でテープが伸びるのを防ぐことができます。また、高温多湿に弱いですから、なるべく直射日光には当てない。カセットテープは繊細なメディアですから、こういった細やかな心配りが寿命を延ばすんです。今の若い人たちはもちろん、僕らと同じ世代でもそこまで知っている人は少ないですから、そういった情報の提供まで含めて、waltzの存在価値だと思っています。

カセットテープに対する愛情があるからこそ、何十年も前の製品でも自信を持って売り物としてお店に出せるんですね。waltzではラジカセも取り扱っていますが、こちらもリユース品なのでしょうか?

ほとんどがリユース品ですね。現在では、メーカーも町の電気屋さんもこういった古い機械は修理していないので、waltzではもともとメーカーでリペアを担当されていたプロに依頼して修理してから商品として並べています。まだ構想段階ですが、今後はそういったリペア職人さんを集めた会社も立ち上げようかとも考えています。

リサイクルビジネスでもあり、新たな雇用も生み出しているということなんですね。それでは最後に、角田さんの考えられるリユースショップの未来について教えていただいて宜しいでしょうか。

はい。先ほども少し話が出ましたが、リユースショップやwaltzのようなリユース品を扱うお店の存在価値は、「安心感を提供できるか」だと思います。いまやネットで何でも手に入る時代ですから、探せば同じ製品をここよりも安く買えることもあるかもしれません。しかし、売っている人の顔が見えるのとそうでないのとでは製品の状態に雲泥の差が出てくると思います。たとえばラジカセなどは、同じ「完動品」でも、「動く」ことと「いい音で聞ける」ことはまったくの別物。責任感を持ってお客様に良いものを届けようというお店は、どんなにECが発達しても存続していくのではないでしょうか。

ありがとうございます。セカンドストリートも責任感を持って安心できる商品を提供するリユースショップであり続けたいと思います。本日はお忙しい中、ありがとうございました。

カセットテープを「古いもの」としてとらえるのではなく、新しいカルチャーとして世間にプレゼンテーションするwaltz。そういった新品にはない新たな価値観と出会えるのもリユースの魅力のひとつ。ぜひみなさんも、リユースをもっと楽しんでみてください。

INTERVIEW GUEST
  • カセットテープ & レコード waltz ワルツ オーナー
    角田 太郎

    CD/レコードショップ WAVE渋谷店、六本木店でバイヤーを経験後、2001年にアマゾンジャパンに入社。音楽、映像事業の立ち上げに参画。その後、書籍事業本部商品購買部長、ヘルス&ビューティー事業部長、新規開発事業部長などを歴任し、2015年3月に同社を退社。同年8月に東京・中目黒にカセットテープやレコードなどを販売するビンテージセレクトショップwaltzをオープン。現在のカセットテープカルチャーを牽引する。
    www.waltz-store.co.jp

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